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機能性ぴくつき、機能性ミオクローヌス

機能性ミオクローヌスとは、機能性運動障害の一部として起こる、突然のびくっとした動きやショックの様な動きを指します。

ミオクローヌスは、様々な神経疾患だけでなく、正常な状態でも見られる症状です。

ほとんどの人が、眠りに落ちるときに飛び跳ねたり、ピクピクしたりした経験があるのではないでしょうか。このような動きは「ヒプニック・ジャーク(入眠ぴくつき)」と呼ばれています。

また、人によっては不規則な体の「震え」を経験したことがある人も多いでしょう。これは、体内を素早く移動することから、「人の墓の上を歩く」と表現されることもあります。

時折起こる入眠ぴくつきや体の震えは正常ですが、機能性ミオクローヌスでは、このピクピクが頻繁に起こるようになり、身体的な障害が生じます。

腕や脚のピクピク、あるいは全身がピクピクすることがよくあります。この動きはコントロールすることができません(つまり不随意運動です)。

どのように始まるのか?

機能性ミオクローヌスは突然発症することが多い(およそ2/3の割合)のですが、徐々に進行することもあります。FNDの他の症状と比べると、やや遅れて発症します。例えば、35人の患者さんを対象としたある研究では、平均年齢は45歳でした。以下のような状況下で発症することが知られています。

  1. 身体的損傷。機能性ミオクローヌスは複合性局所疼痛症候群の一部として起こることがあります。背中の痛みに伴い、体幹がぴくつくことがよくあります。
  2. 医学的な問題でミオクローヌスを経験した場合。
    • 薬の副作用
    • ぴくつきを伴う失神発作
    • 感染症
    • 集中治療室の入院
  3. 恐怖症やパニック発作の後。
  4. 恐怖を感じることなく起こる「解離」(ボーッとする、ボーッとする)と呼ばれる症状。
  5. 機能性ミオクローヌスがもともとのミオクローヌス疾患を増幅した場合。

診断はどのように行われるのですか?

機能性ミオクローヌスの診断は、通常、神経科医によって行われます。神経疾患に付随するミオクローヌスの多くはまれであるため、専門的な知識が必要であり、診断が困難な場合があります。

機能性ミオクローヌスを診断するために神経科医が確認する項目には、次のようなものがあります。

  1. 脚ではなく、体幹(つまり胴体)のぴくつき。
  2. 突然の発症で、他に明らかな病因がない。
  3. 体幹のぴくつきがある患者で顔面や声が影響されている。
  4. 歩行時の体幹の屈曲発作。
  5. 気を他に向けることで、患者が抑制または遅延させることが可能なぴくつき。
  6. 研究環境によっては、患者に「EEGジャーク・ロックバック・アベレージング」と呼ばれる調査を行うことができる。これは、機能性ミオクローヌスの患者さんにおいて、通常ぴくつきに先行して起こる脳波(EEG)の変化を調べるものです。この変化はBP(Bereitschaftspotential)と呼ばれます。一個人でたくさんのぴくつきを記録した場合にのみ見ることができます。この検査は実施が難しく、日常的な検査というよりは研究用です。下の写真は、機能性ミオクローヌスの患者さんのBPです。

機能性ミオクローヌスの患者の半数以上は、ぴくつき発作の前に警告症状を示します。この症状は数秒から数分続くこともあります。緊張感が高まり、ぴくつくことで、その緊張が一時的に解消されることを経験する方もいます。つまり、患者さんはぴくつきを起こしたくはないのですが、ぴくつきが何かの役に立っていることがあるのです。このことを理解することは、治療に役立ちます。

もし、警告症状を経験しなくても、気にしなくていいです。機能性ミオクローヌスのすべての人に当てはまるわけではないからです。

治療法は?

治療法のページを参照してください。

診断に自信がありますか?

診断に間違いがないと思うことが大切です。そうでなければ、ここで提案するリハビリの手法の効果を得ることは難しいでしょう。

もし、機能性ミオクローヌスであると感じられないのであれば、どのような根拠で診断が下されたかを確認する必要があります。上記のような臨床的特徴は診断に有用です。もし症状が当てはまっていれば、その診断に自信が持てないことはないのでしょうか?

機能性ミオクローヌスの診断にストレスを感じる必要はありません。実際、機能性ミオクローヌスは、リラックスしている時や、特に何も考えていない時に最も顕著に現れることが多いのです。もしかしたら、医師が「ストレス性」と言ったために、診断を拒否されたのではありませんか?もしそうだとしたら、それは誤解かもしれません。

機能性ミオクローヌスの患者さんの多くは、ストレスが症状の原因であることがわかっていますが、そうでない方も多くいらっしゃいます。ですから、ストレスがるかどうかは、診断には関係ありません。

具体的なテクニック

機能性ミオクローヌスの治療は、かなり難しいものです。通常、この問題は長期間にわたって続いており、「癖」になってしまっているのです。次のようなことを考慮するとよいでしょう。

  1. もし、少しでも警告症状があれば、気をそらすテクニックを使って、ぴくつきを回避できるかどうか試してみてください。解離性発作の場合と同じようなテクニックが使えます。患者さんのなかには、この方法をとると、その場はうまくいったのに、後にピクピクが続いたり、さらに悪化したりすることがあると報告している人もいます。しかし、続けてみてください。それが「癖を直す」ための一つの方法になるかもしれません。
  2. 例えば、夜寝るとき、横になっているとき、公共の場にいるときなど、特定の時間にピクピクすることがありますか?脳の働きでは、自分が望んでいないことでも、本当に期待するとそうなってしまうことがあります。これは「条件反射」と呼ばれ、心理学者が脳の癖について考えるときによく理解されることです。もし、あなたがそのような思考を変えることで、ぴくつきが良くなるかもしれません。
  3. 薬物療法-機能性ミオクローヌスでは、しばしば期待はずれに終わります。ほとんどの患者さんは、クロナゼパムなどの薬を試しましたが、成功しませんでした。
  4. 催眠術-催眠術で、ぴくつきが改善することがあります。

残念ながら、機能性ミオクローヌスの患者さんの多くは、それが持続する問題であることが分かっています。しかし、改善しようとする価値があることは確かです。それが何であるかを知るだけでも、人々に貴重な心の安らぎを与えることができるのです。

良性筋痙攣について―これらは「良性筋攣縮」と呼ばれることもあります。

良性筋攣縮は通常、機能性障害とはみなされず、良性ですが心配されることもあります。このウェブサイトにある他の症状と共存する可能性があるため、ここで説明します。

ほとんどの人は、特に目の周りや指に、時々小さなぴくつきを起こします。このようなぴくつきはよくあることで、たまに経験するのは普通のことです。

しかし、人によっては、このような筋肉のぴくつきがどんどん増えていき、体の複数の部位で、ほとんどの時間、ぴくつきを経験するようになります。そうすると、何が原因なのか不安になり、さらにぴくつきがひどくなります。

このような全身性の良性ぴくつきは、医学生や医師に多く見られることが知られており、このような症状が現れると、運動ニューロン疾患(ALSなど)かもしれないと心配になるのだそうです。

しかし、筋繊維全体が痙攣するこの症状は、運動ニューロン疾患に見られる筋攣縮と呼ばれる小さな痙攣の動きとは異なっています。そのため、良性筋攣縮という名称は間違っています。全身性筋ぴくつきの原因は他にもありますが、臨床的には良性筋攣縮が最も多くみられます。

機能的な症状と同様に、何が問題なのかを知ることで、自然によくなります。

この記事は、良性筋攣縮と不安症を経験し、その後、治療により解決した医師によって書かれたものです。

[翻訳者:植田恵介]